2014年3月9日日曜日

ミクの日航海日誌


【3月9日】

3月9日は「初音ミクの日」ですので、初音ミクと豪華客船を貸しきって優雅なクルーズを楽しみにやってきました。

でもただのクルーズじゃ面白くありませんので、たくさんの初音ミクを誘ってハーレムクルージングと洒落こんだわけです。

たくさんの初音ミクです。すごく幸せです!








うーむ、素晴らしい・・・これぞ極楽浄土というんでしょうね。

今日からこのたくさんの初音ミクと過ごす太平洋のゆったりとした日々をカッコつけて航海日誌なんてものにしていこうと思います。

今から楽しみです!



【3月10日】

いやあ・・・素晴らしいですよ本当にこの航海は・・・

生きていてよかったと思います。


見てください!客室を開けたら初音ミク!



廊下に出ても初音ミク!

見てくださいこの左端の初音ミクの可愛さを!

最高の船旅です!



【3月11日】

今日は船内中央にあるステージで歌を歌ってもらいました!

もう耳が幸せで死んでしまうかと思いました。
生歌はやっぱり素晴らしいですね・・・感動!



【3月12日】

航海も4日目になりまして、毎日飽きること無く幸せな時間を過ごせているのですが、ちょっと気になることといいますか、心配なことが出てきました。

こちらの写真を見てもらいたいんですけれど、
中央の初音ミクの頭が少しまわりのミクより大きい気がするのです。

初日にはこんなことなかったんですけど、なにかあったのでしょうか。

せっかくの可愛い顔が、少し不気味なものになってしまって、痛々しい限りです

すごく、心配。



【3月13日】

この話を今日も続けることになるとは思いませんでした・・・
昨日の頭が少し大きい初音ミクなんですけれど、今日朝起きてみたら、
もっと大きくなっているのです・・・!

これは明らかにおかしいです。なにか病気にでもかかってしまったのでしょうか・・・?
昨日と比べてもその差は歴然。

変なのは頭の大きさだけじゃなくて、ほかのミクより少し無口というか、あまり喋らなくなってしまいました。
船の上なので医者もいません。これは早めに引き返して病院に連れて行ったほうがいいと思うのですが、戻るのにも時間がかかるので、とりあえず様子を見ようと思います。
苦しんでいる様子は無いので、命の危険はないのかもしれませんが、これは異常です。



【3月14日】

冷たさで目を覚ましました。

僕の身体はどうやら水に浸かっているようです。慌てて水面から顔を出し、パニック状態になりながらも目を開けると、
!!!!!!!????????

頭の大きな二人の初音ミクが僕を囲んでいました。
その奥には同じく頭の大きな初音ミクがたくさん見えます。

僕は寝床からこの二人に運びだされ、プールに投げ込まれたのです。

わけがわからないまま放心していると、プールサイドの巨頭ミクたちが僕の方へとわらわら歩いて来るのです。

僕はミクたちの瞳にただならぬ光が宿っているのを見た気がしました。
震える膝を黙らせて、プールから上がり、そばにある小さな乾燥室に逃げ込みました。
ここは外からは入れないので鍵をかけてしまえばとりあえずは安心です。
僕はどうなってしまうのでしょうか・・・


【3月15日】

何も打開策が見つけられないまま夜が明けてしまいました。相変わらず巨頭ミクたちは部屋のそとでウロウロしています。

この乾燥室はガラス張りのため、ミクたちの顔がありがたいことによーく見えます。
9日はあんなに可愛かったはずのこの顔が、今となっては邪悪なものにしか見えなくなってしまいました。悲しいことです。

一日過ごしてみてわかったのですが、このガラス、結構すぐ破られてしまいそうな気がしています。大きい顔でドンドンやられるたびにミシミシ鳴くのを一晩中聞いていました。

入ってこられたら僕はどうなってしまうのでしょうか。ミクたちの目は出発当初とは明らかに違う、狂気じみたものに見えます。
いつも習慣で胸ポケットに入ってる小型拳銃が、いやに重みを増しているように感じられました。




【3月16日】



とうとう入り口を破られてしまいました。
最初の一人が確実に僕に迫ってきます。

僕は細い体をすり抜けて、なんとか外に出ました。
途端、一斉に全員がものすごいスピードでこちらに向かって走ってきます。重たい頭をぐらんぐらんと揺らしながら、気持ち悪い勢いで迫ってきます。瞳の狂気は、殺意に満ちていました。
僕は思わず拳銃を取り出しました
次々と初音ミクが倒れていきます。頭が大きいので悲しいかなとても狙いやすいのです。
僕は喜びと悲しさが混ざったような不思議な気持ちで引き金を引き続けました。
最後の一人が倒れるまで、あまり時間はかかりませんでした。ただ、この初音ミクの死体と過ごす海の上の時間は、永遠のようにも感じられたのです。


3月9日~16日 航海日誌