遭難するなら
100エーカーの森にしましょう。
「火起こしのプロだからな俺は!山道にも詳しいんだ。」といいとこ見せたくて仕方がない彼氏と、あんまり乗り気じゃない彼女のカップルがキャンプにやってきて遭難、運悪く人喰いクマに遭遇しムシャムシャされてしまうという映画です。
一応実話を取り入れた映画で、12年間アラスカでグリズリーの保護活動をしていたティモシー・トレッドウェルの最期――恋人と共にグリズリーの襲撃を受け死亡した――をエッセンスとして使用しています。それ以外はオリジナルストーリーです。劇中で"Based on true story"とご丁寧に出てくるのですが、ストーリーというかワンシーンを拝借しただけなので、「そうだよな。そう言えなくはないよな」と思いながら飲み物をすすることになります。
この映画はいわゆる「殺人巨大グマが大暴れ!男どもは八つ裂き!美女が絶叫!助けてーッ!」という類のものではありません。出てくるクマ自体はよく映像とかで見るような普通のクマですし、その姿もちょっと大きいかなというくらいでモンスターっぽくもないので、想像の範疇に収まるような地味なクマと言ってしまえるかもしれません。ですが、その想像の範疇に収まってしまうようなクマが人を襲うところを生々しく描いているので、「最悪自分の身にも起こり得ないことじゃないよな・・・」とか自分が襲われるところを容易に想像できてしまう怖さがあるのです。当然殺人巨大グマの方が暴力的でそういう意味では怖いでしょうが、あくまでそれは空想の話。この映画のクマは妙にリアルで想像に難くない存在として描かれるため、見ていると「人間って非力なんだよな。こんなクマに出会ったら八つ裂きにされるしか無いもんな・・・」みたいな諦観の境地に至っていくことになります。
以下、簡単な内容紹介です。
【内容】
右:自信過剰な彼氏アレックス 左:乗り気じゃないけど、付いてきてしまった彼女ジェン。
アレックスは火起こしが上手いだの山道には詳しいだの、いかに自分がアウトドア慣れしているかをジャブのようにピシピシ浴びせてきます。彼女の前でええかっこしたいもんね、仕方ないよね・・・みたいな気持ちで見守るとか、「あっ、こいつ死ぬよ!だって調子に乗ってるもん!俺は詳しいんだ!」とそういう慣れを画面に向かって叫んでおくなど各自やっておきましょう。
カヌーで山道へと向かう二人。アレックスは「熊よけスプレー?使わないと思うよ笑」「おい・・・こんなもの要らないだろ勘弁してくれよ・・・」みたいなことを言っては、クマ餌食レースをトップで走ろうと大はりきりです。順位的には出発の際トランクを閉めたあたりからずっと1位なので、このはしゃぎっぷりに視聴者は涙を禁じえません。
テントを張り、今日の宿を確保する二人。色々とお互い気に入らないことがあってギスギスしたまま翌朝を迎えます。
この時点で、クマらしき足跡や、シカの食い荒らされた死体などを二人が目にするシーンがいくつかあり、その気配を徐々に現していきます。
日が昇って翌日、二人でアレックスが小さいころよく行っていたという湖を目指しますが、いつのまにか道を外れ遭難してしまいました。アレックスの話では「坂道を抜けるとそこには美しい湖がいきなり現れるんだ・・・」とのことだったのですが、どこで間違ったのか現れたのは無限に続く森。アレックスは"Let me think...Let me think..."とパニック、ジェンの今まで溜めていた怒りが爆発します。
画像レスにお使い下さい。
一時は大喧嘩、パニックになった二人ですが、アレックスがジェンをこのキャンプに誘ったのはプロポーズするためだったと判明。時間も良い薬となってか少し関係を持ち直します。画像は焚き火の前で唯一残っていた食料のシャンパンを二人で飲んでいるシーンです。今までひたすらギスギスしていた二人が笑いながら楽しげに話しているところを見てしまったせいで、「運良く二人とも助かったりしないかな・・・無理なんだろうな・・・」みたいなことを少し思うようになります(個人差があります)
そして翌朝、テントのジッパーを下ろすと奴は突然現れます。慌ててジッパーを上げ、ジェンに静かにするよう伝えるアレックス。足跡やシカの死体を目撃、何かが森のなかにいるような気配を感じていたジェンは、ただごとではないアレックスの様子を見て血相を変えます。張り詰めた空気の中、クマがテントに近づいて来る。どこかへ行ってくれ・・・どこかへ行ってくれ・・・と祈るアレックス。
駄目でした。クマはテントを突き破り、二人に襲いかかります。ジェンをかばいクマを蹴って追い払おうとしていたアレックスは足を酷くやられます。ジェンが熊よけスプレーを噴射し、クマを一度追い払うことに成功。「俺はもうダメだ!死ぬんだ!」「死なないわ!絶対に死なない!二人で生きて帰るの・・・・・。再びクマが戻ってきてアレックスを引きずっていきます。ジェンの前で食い散らかされるアレックス。「行け!逃げろ!」今際の際で彼は叫びます。アレックスのリュックサックから婚約指輪を取り出し、握りしめて走りだすジェン。果たしてジェンはクマから逃げ延びることが出来るのか・・・
以下はくまさん写真集です。
のそのそやってくる所が愛らしいですね。理解不能な変化球も投げてこないし、上着ておいて下履いてないクマよりマシなのではないでしょうか。