2026年9月20日日曜日

日本四大公害ツアー:水俣編


訪問のきっかけ:元々興味があり、西日本に住むようになって距離が近くなったから


訪問前に読んだ本:
苦海浄土 わが水俣病(石牟礼道子)
水俣病(原田正純)
水俣病の科学(西村肇/岡本達明)
四大公害病(政野 淳子)
水俣病闘争史(米本浩二)


博多駅から九州新幹線に揺られること1時間20分、新水俣駅に到着。2026年熊本地震により直前まで運休していたし、シルバーウィーク初日ということで混むかと思ったが、混雑は小倉〜博多間がピークで、熊本を過ぎると自由席ですら人がまばらとなった。

なお、水俣はおろか熊本県に来た事自体今回が初めてである。




新水俣駅の外観。周囲にはほぼ何もなく、よくある地方都市の新幹線駅という印象。東北で言えば白石蔵王とか水沢江刺みたいな感じか(不毛な比較)





駅前に止まっていたタクシーで市立水俣病資料館へ向う。所要時間は15分程度、料金は2,100円。運転手の人に何か聞かれるかもと思って想定問答集を考えていたのだが、実際には会話すらなく問答集が日の目を見ることはなかった。

水俣病資料館に到着。非常に海が近く、風向きによっては磯の香りがする。





館内は一部撮影可だが、SNS等への投稿は禁止。展示の内容は概ね本で知っていたものが大半であったが、ただ活字で読むのと現地で目の当たりにするのとでは受ける印象は異なるように思う。また、細川一医師の報告書や、精留塔ドレーンの瓶詰め、猫400号の標本なんかはここに来ないとまず見られないことでしょう。

展示で新たに知ったこととしては、原因物質のメチル水銀は体内でアミノ酸であるシステインと結びつくと必須アミノ酸のメチオニンと構造が似てしまうために血液脳関門や胎盤を突破するということだった。



以下は資料館の屋上から撮った海の写真。





一枚目は恋路島の方角、二枚目は天草の方角に向いている。地図で言うとそれぞれこのあたりになる。




ちなみに今僕が立っているところは、かつて工場廃液によって汚濁したポイントにあたる。

来て知ったのだが、この資料館などが建っているエコパークというところは埋め立て地で、海洋汚染を封じ込めるために汚濁した海域を囲いそこを埋め立てたものとのことだった。



出展:水俣病資料館 海の記憶(PDF)


資料館を後にし、次は当時患者多発した月浦地区と湯堂地区へ行ってみることにした。ちょうどよい交通手段がないし、自分で歩きたかったので資料館から3~4キロくらいを散歩することにした。




道中にあった道の駅みなまたに立ち寄った。店名が安直すぎる。




キキララの海洋種バージョンみたいなのがお出迎え。




安直な名前の店でこちらを購入。一見輸血パックに見えるがこれはブラッドオレンジゼリー。地元の洋菓子屋製。果物そのものの味が感じられてよい。520円。




ちなみにグッズ系のお土産は熊本県ということでくまモンが大半であり、地元っぽいものはあまりなかった。アセトアルデヒド工場精留塔の模型キーホルダーとかあれば買ったのだが、そんなものが作られるわけがない。

途中で見かけたなんかよさげな川。分岐具合がよい。




道中こんな石碑を見かけた。背面の文を要約すると、

「ここにはかつて運輸省第四港湾建設局 八代港工事事務所があった。我々は国直轄技術集団としての誇りを懸け、水俣湾公害防止事業に全力を尽くした。水俣の海の再生に少なからず貢献することができたことは無上の喜びである。甦った水俣の海が、未来にわたり穏やかで豊かであることを願う。」

とのことである。






しばらくして月浦地区に到着。写真は海辺から撮ったもの。多数の船舶や釣りに興じる人々が見られた。





月の浦橋。歩道には人がいないがカニはいる。歩いていると僕に気づいたカニが次から次へと海に姿を消していく。たまに海から魚が跳ねているのも見える。





続いて湯堂地区に到着。写真はバス停。時刻表を見ると1〜2時間に1本程度しか走ってないが、それだけ走ってるなんて都会だなあと田舎マウントを取りたくなる諸賢もいることでしょう。





湯堂地区の海沿いにも出たいのでバス停のある国道3号線から海へ向かうのだが、なんなんだこの道は。やたらと暗くて不気味だし、クモの巣や蚊の歓待を受ける羽目になった。途中で人が住んでるのか住んでないのかよくわからない住居があり、犬とかが飛び出して来ないかなかなかに不安であった。

ほかにも道があるんだからわざわざそこを通るなよと言われればそれはそう。





神隠しに遭いそうな道を抜けると住宅が立ち並ぶ普通の場所に出て、再び海が開けた。ここもたくさんの船舶が停泊していて、同じく釣りをしている人が散見された。海はずっと穏やかである。




国道に戻ってきて昼食を取ることにした。このあたりでは名の知れたお店らしい。実際混んでいたし、団体客も見受けられた。写真を撮り忘れたので外観はストリートビューより。




しらす丼と貝汁。貝汁は味噌のためなのかわからないが妙な甘さがありおいしい。貝は全てあさり(多分)。一部砂っぽかったが、とりあえずは野趣あふれるということにしておきたい。

しらす丼も良かった。昨今は生しらすのほうがもてはやされている感があるが、しらすって茹でたほうがおいしくないですか。1,800円。




店を後にし在来線の水俣駅に行ってみることにした。距離としては4キロあって、暑いし流石にもう歩きたくないので先ほどのバス停へ戻ることにする。次のバスは50分後だそうです。

がたがた揺られること約10分、水俣駅に到着。バス代は200円。乗客は僕一人だった。




水俣駅を振り返るとすぐそこにチッソ株式会社の敷地がある。本当に目の前なのでなかなか見応えがある。





水俣駅から新水俣駅までは歩いていけなくもないのだが(約50分)、次の電車を待つのと同じぐらいの時間がかかるし、流石に疲れたので駅舎で待つことにした。外観に比べ駅舎の待合室はなかなかきれいだった。

肥薩おれんじ鉄道八代行き到着。地方都市でよく見る座席が小豆色で騒々しくよく揺れる車両である。東北本線とか奥羽本線で見た気がする。

今回の旅程はこれにて終了。




(車内でやたらと目が合う謎の熊)




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