2013年4月6日土曜日

映画:インブレッド【ネタバレ】







「インブレッド」というスプラッタホラー映画を見ました。GEOで見かけてからかねがね気になっていたものです。全然見たくありませんでしたが、見たかったので借りて来ました。

予想通りひどい映画でした。でも、もう一度見てもいいです。ざっと説明します。



出るか?殺しのハイスコア!
狙え鮮血の金メダル!
ロンドン五輪に続き、
鬼畜村の殺人オリンピック、只今開幕!

ある週末—。人里離れたヨークシャーの田舎に、ボランティアの社会奉仕活動として連れ出された4人の少年犯罪者たち。学校に放火したティムと、ピッキング犯のゼブ、乱暴者のドワイト、そして無口な少女サム。保護観察官に引率された彼らが辿り着いたのは、なぜかカーナビには存在しない鄙びた村だった。かつては石炭鉱業で栄え、隔離施設があったと噂されるその場所は、今や邪悪な愉しみに浸る異常者たちが住む悪魔の巣窟に姿を変えていた。ふとした諍いから、村人に追われる身となった彼らは、次々に捕らえられて血塗られた惨劇の晴れ舞台に上げられる。肉切り包丁による生首早切り、顔面馬蹄スタンプ競技、胃袋の限界に挑む糞尿飲みガマン大会—。趣向を凝らした殺戮ゲームに熱狂喝采する村人たち。一度踏み込んだら二度と生きては出られない魔村で繰り広げられる、前代未聞の“殺人オリンピック”。この恐怖、次はあなたの身に振りかかるかも…。



と公式サイトにある通り、キチガイ村のキチガイたちが偶然やってきたよそ者をぶっ殺しまくるお話です。ストーリーについてこれ以上言うことはありません。



主な登場人物(ひどい目にあう方)は以下の六人です。

ケイト(社会福祉士)











公式サイトにはこんな写真で載っていますが死にます。


ジェフ(社会福祉士)









自分の理想を押し付けようとする嫌なやつ。一番最初に死にます。



ティム(放火犯)










この写真TOKIOの松岡に似てる。死にます。


ゼブ(なにか悪い事した人)






後述のドワイトとつるんでいる。死にます。



ドワイト(なにか悪い事した人)








いけ好かないやつ。でもいい奴。クソを飲まされて死にます。


サム(かわいい)







唯一の美人。最後に死にます。



この六人が殺されるまでの過程をざっと見て行きましょう。

まず、この村にたどり着いた六人はあるボロ屋に泊まることに。あまりに荒れているので全員で片付けをしましょう。ドワイトとゼブは文句や暴言(FuckやShitなど)を垂れながら作業です。なんとなくこの段階で二人は死ぬ気がしますね。あら不思議。

片付けが終わったので六人は近くのパブに繰り出します。入った途端に地元民からジロジロ見られ、マスターからも「よそ者を嫌う雰囲気があるけど、関わらなきゃ大丈夫だ」などと大嘘だろとすぐわかる言葉を頂戴します。










マスターです。明らかにヤバイ顔をしていますね。顎が割れています。



立てまくったフラグはさっさと回収されるもので、パブの外でタバコを吸っていたサムがある男に絡まれてしまいます。「都会の女か?」などと言いつつ髪の匂いを嗅いだりするのでさっさと死んで欲しいです。サムは店内に逃げ込み、変な男はマスターが追い払って事無きを得ました。不気味な雰囲気を残しつつ、六人はパブを後にし、夜が明けます。









変な男(左)です。結構絡んできます。



 翌朝、うっとおしいジェフの提案で廃線になった電車の内部から銅やアルミなどを集めよう!という社会奉仕活動が始まります。これ犯罪じゃないのとか思ったりしますがどうなんでしょうか。社会奉仕活動なのでいいんですかね。
 
 六人は二班(ジェフドワイトゼブ/ケイトサムティム)に別れ、資源回収にあたります。サムとティムは車両の中へ、ケイトは体調が悪いのか少し一人で休みます。
サムとティムは電車の窓から何かが燃えている煙を発見。その元へ行ってみるとなんと動物が燃やされているではありませんか!ティムは「動物を燃やすなんて!」と憤慨。彼の中の火をつけるガイドラインか何かに抵触したのでしょうか。二人は大騒ぎしながらケイトのところへ行こうとしますが、突然サムに絡んだあの男と数人が現れ、二人を羽交い絞めに。わめき叫んでいるとケイトが現れ、サムに再び絡んでいる変な男の後頭部をスコップでぶん殴ります。見てる限りあんまり痛そうじゃないです。ジェフ、ドワイト、ゼブの三人も騒ぎを聞きつけやってきて、ジェフが男たちを怒鳴りつけます。おお、かっこいいじゃんこのおっさん今までいいとこなかったのに・・・と思っていたら勝手にこけて金属片で脚をざっくり切ってしまいました。逃げゆく男たちを追いかけようとしたとはいえ、マジ役に立たねえなこいつ。
 




 







おっさんの唯一の見せ場です。




 ジェフのキズは深く、ケイト曰く「救急車を呼ばなきゃしんじゃうわ!」とのこと。僕は死ねばいいじゃんと思っていましたが、パブのマスターが一晩でやってくれました。マスターは「どうれ、今楽にしてやるから・・・(救急車を呼んでも一時間はかかるしな!)」と五人の目の前でジェフの首を肉切り包丁で切り落としてしまいます。当然五人は阿鼻叫喚、血を浴びまくりながら無理矢理地下室に連行されます。この時マスターは「とにかく連中は生かしておけない・・・」とつぶやきますが、唐突すぎて意味がわかりません。五人はなんにもしてないだろ!

 急遽囚われの身となった五人。泣き叫び、狂ったように鍵のかかったドアを叩き続けます。ドワイト、ゼブ、ティム、ケイトはキレまくり、サムはすんすん泣いています。さすがサムは他の4人とは違うよね。かわいいですよね。

 そんなこんなしているとドアが開き、ゼブが連れだされます。マスターが言うには何やらショーが始まるらしく、会場には村人満員御礼大入り大入り感謝感激雨霰とのこと。連行されたかわいそうなお友達ゼブはステージの床に大の字に寝かされ金具で固定されます。


 すると突然マスターが左のような格好で現れ前説を始めます。会場は大盛り上がり!これから始まることに興奮高ぶっている様子です。まあ、何が起こるかはあらかた予想がつくと思うのですが、一応言っておくとゼブくんの殺戮処刑ショーの始まりです!やったね!
 
 さてさてステージに寝かされ固定されてしまったゼブくんはどんな風に殺されてしまうのかというと、ここでまたあの変な男が現れます。変な男はより変になりたかったのか、奇妙なバケツをかぶってキモい衣装で登場します。適当に会場を盛り上げてからゼブくんに馬乗りになっては鼻の穴にアスパラガス(多分)を、口の中に人参を無理矢理突っ込みます。すごく痛そうですが、なんだよコレで終わりかよーと思っていると突如謎の双子に連れられた猛々しい馬が現れます。お馬さんは野菜の気配に気づき、ゼブくんのまわりをくるくるぱかぱか歩きまわります。ああっ、踏まれちゃう!踏まれちゃう!お馬さんの蹄が肩に1hit!叫ぶゼブくん!お馬さんの蹄が額に1hit!くぅ~疲れましたwこれにてFatal K.Oです!ゼブくんは頭を馬にかち割られて死にました。せめて痛みを知らずに安らかに死ぬがよい。


 方やそんなことも知らない地下室の4人はと言うと、サムがつけていたヘアピンで扉の鍵をあけることに成功、脱出を試みます。さすがサムですね。持ってるものが違う。

 なんとか脱出した4人でしたが、最後尾だったドワイト(地下室のそばにいた見張りを撃退したりしていたため)が捕まってしまいます。ドワイトは「行け!俺のことは置いて行け!」と叫び、露骨に好感度を上げに来ます。うるっとしてしまいますね。結果、ドワイトは捕まり、ケイト、ティム、サムの三人はこの村に来る際に乗っていたバンが停まっているボロ屋まで走ります。この時三人をあの変な男が追っています。

 さて、捕まったドワイトはどうなったのかというともちろんステージに上げられます。椅子に身体を固定され、口に汚い布を詰められています。先ほど捕まった時に結構殴られたので血まみれです。ドワイトは死ぬんだろうなあと思いつつ、「やめろ!ドワイトを殺すな!」という気持ちになります。

 このショーではダーティマンだかミスターダーティだったか忘れましたが、また変な仮面をかぶった男が出てきます。この男はクソをしこたま詰めた散布機(水とか農薬とかを撒くアレね)を使って人を殺すようです。まず、ドワイトの口布を取ります。ドワイトはもちろん叫びますので、その叫んで開いた口に散布機のノズルを突っ込みます。トリガーを引いてドワイトの体内にクソを放出し続けます。顔が膨らみ、目が飛び出し、やがて腹が破裂してしまいます。ドワイト死亡です。現実的かどうかは知りません。ちなみにこのシーンむかつくのが、観客は安全のために3Dメガネをかけているところと、目玉が飛び出す時カートゥーンのようなポンッ!という音がなるところですね。ディズニーランドで言うミクロアドベンチャーのような感覚です。




 









ふざけた観客のみなさん。



 さて、逃げた三人は見事バンまでたどり着き、道無き道を走っていきます。すると何故か追いかけていたはずの変な男がバンの前に現れショットガンをぶっ放してきます。ありますよね、地元民だったら車にさえ先回り可能な道を知っているとか、ありますよね。このへんな男はショットガンをぶっ放してはいますが、何故かバンの前にずっと仁王立ちしています。はいもう分かりましたね。その通り轢き殺されます。はい、変な男死亡です。何やってんの。

 サーカス会場では次のショーに使うよそ者がいなくなったことを知ったマスターがキレています。キチガイ部隊を編成して三人の捜索に当たります。この場面ちょっと気になったんですが、所持している銃器がみんなショットガンなんですよね。一撃でぶっとばせるというのはやはりキチガイにとって魅力なのでしょうか。なんかわかる気がします。

 突然、三人を捜索しているキチガイ部隊の前にバンが現れます。バンは部隊の方へ向かってきます。ここも意味不明なことに部隊はバンの正面からショットガンをぶっ放します。またご多分に漏れず数人轢き殺されます。ひき肉を製造して止まったバンには誰も乗っていませんでした!アクセルは枝で押されていただけだったのです!「なあに、罠は山のように仕掛けてある・・・逃げられはせんよ・・・」と強気なマスター改めピエロ。不敵な笑みを浮かべます。ほんとうの意味でのキチスマですね。

 一方三人は茂みの中を歩いていました。ケイトはボロ屋に置いてきた地図と携帯電話(冒頭でジェフが携帯は預かると言って全員分を回収していた。マジ邪魔しかしねえなこいつ。)を取りに戻らなくちゃどのみち逃げられないわ、警察を呼ばなきゃならないし!と力説しますが僕は意味がわかりませんでした。バンを乗り捨てるほうがよっぽど危険だろアホかと思ったのです。そんなこんなで三人はボロ屋に戻ってきたのです。あえて危険なところに戻る、というのはホステルでも見ましたが、今回は全くハラハラ感がなかったですね。「ああー戻るんだー死ぬよー」ぐらいです。ホステルは「バカ!戻るなって!死ぬぞ!日本人なんか放っておけって!」という感じです。日本人()という話はしません。

 ボロ屋に戻って来た三人は地図と携帯電話を探します。地図は見つかりましたが、携帯電話が見つかりません。ケイトは外を見てくるわと言って玄関の扉に近づくと左手をドア越しにショットガンで撃たれます。ボロ屋は早くもキチガイ部隊に包囲されていたのです。完全に万事休すですが、三人にも武器はありました。変な男を轢き殺した際、そのショットガンを奪っていたのです。心強い味方と言いたいところですが、敵は何丁も持っており、しかもこちらは弾が数発しかありません。事態が最悪なのには全く変わりがありませんでした。

 三人はおとり作戦を考えます。怪我をしたケイトをドアのそばに座らせて敵が油断したところを反撃しようというものです。この作戦は功を奏し、敵の一人を結果的に殺すことに成功しました。キチガイ部隊はキチガイのくせに、敵が目の前にいるのにもかかわらず死んだ仲間の葬式を始めました。「鈍くさいとこもあったけど、いいやつだったよなあ」などとマスターがごちます。生意気ですね。これは明らかにチャンスなので、その隙にケイトは自ら外に飛び出し、「私はこっちよ!追って来なさいよ!」とサムとティムを逃がそうとします。ケイトは痛む左手をかばいつつ走り続けますが、キチガイ部隊は誰一人として追って来ません。それもそうです、この村は罠だらけなのですから。哀れケイトはトラバサミにかかり、脚をざっくり噛まれてしまいます。マスターは「トラバサミにかかってももうちょっと走るだろ」ということでチェーンソー男をケイトに差し向け、トラバサミに挟まれた脚を切り落とさせます。ケイトはのそのそ進みますが、結局マスターにショットガンで撃ち殺されます。ケイト死亡です。
 チェーンソー男が若干ダンスらしきものを踊ったのはやはりあれでしょうか。

 さて、ボロ屋に残された二人ですが(この二人この状況でキスとかしてますよ!キスとか!)、ティムは地下室にウォッカの山があることに気が付きます。ここに部隊を誘い出して焼き殺そうという算段です。まず、俺たちは抵抗しないということでショットガンをボロ屋の外に捨てます。キチガイたちは地下室の扉が開いていることで、「ははん、あいつらめ地下室に逃げたな」と全員で地下室へ向かいます(ちょっと変な気もしますね)。この隙にサムはボロ屋の外へ逃げ出します。行け!逃げるんだサム!

 地下室に部隊全員を集めることに成功したティム、地下室の床じゅうにウォッカをぶちまけ、火炎瓶に火をつける寸前で奴らの前に現れます。自殺覚悟の道連れ作戦です。ティムは迷いなく火炎瓶にライターの火を近づけますが、何故か火はつきません。「酒に火がつかないなんて!」と大騒ぎしているとマスターが「それはみんな水で薄めたやつだからつかないんだよな」という衝撃の事実を伝えに来ます。ティムは「嘘だ!つけよ!燃えろよ!燃えろよ!」と騒ぎながら殺されます。ティム死亡です。

 サムの行方ですが、なんとなくわかっているかもしれませんけれど、この村には罠がたくさん仕掛けてあります。マスターたちは走り去るサムを賭け事をしながら見つめます。「落とし穴は2倍、トラバサミは4倍、ワイヤーは8倍、地雷は当たりにくいから20倍だ・・・」。愛しのサムは運悪く地雷を踏んでしまいます。彼女の身体はのどかな村の空をバックに爆発四散しました。サムも死亡です。そしてこの映画も終わりです。

 ひどい映画です。
 
 


2013年3月10日日曜日

Civ5




Civ5を最近買いました。ある文明の指導者になってその国の存亡を決める戦略ゲームです。Civシリーズを触るのはこれが初めてで、前々から触ってみたい触ってみたいと思ったのがやっとかなった感じですね。やっと腰を上げただけ、とも言います。

一番最初にプレイした際、難易度には「プレイを学ぶために」という一番簡単なやつがわざわざ用意されているのに「普通でもいけるやろー。なめんなや。」といきった結果フランスに征服されました。アウグストゥスが死んでしまった!


(フランスに包囲されているのに黄金期の我が首都ローマです)

それから数回を経て今回はフランスを操っています。初めてすぐ隣が好戦的なギリシアのアレクサンドロスで頭がいたいなあと思いましたが、「まあ、いけるやろ」と何も戦闘ユニットを作らなかったら都市を一つ奪われてしまいました。すまんな、無能な指導者で。

アレクサンドロスとはなんとか和平をして、そこから海外植民などもぼちぼち行いつつ文化勝利を目指しました。都市を取られてから、軍備も疎かにせず気持ち悪いくらい戦闘ユニットを作りまくっていたら、非難声明は出されることはあったものの、ギリシアその他の国から宣戦布告されることはありませんでした。ありがたいですね。

文化勝利する際に必要なユートピア計画が残り数ターンで完成するというので、ギリシアに千年越しくらいの復讐をしようと思いました。ギリシアの都市に二つ三つなど嫌がらせをして、手前はユートピアに逃げ込もうという魂胆ですね。素晴らしい。


というわけで原子爆弾をアテネにプレゼントします。都市が死の灰に覆われてきっと幸せのことでしょう。市民、幸福は義務です。

適当に原子爆弾を数個放り投げて、あとは知りません。「まさに野となれ山となれじゃないか!HAHAHAHAHA!(アメリカンジョーク)」

文化勝利です。僕はユートピアに逃げますからね。



よかったですね。



2013年2月25日月曜日

甘味



 どうにもならないのでキーボードを胸に埋め込んでいる。ちょうど喉の下から腹の中間辺りにキーボードが縦になって入っているのだ。埋めるのに邪魔だった肉や骨はベランダから投げ捨てた。知らないうちに猫がやってきて全てを食べてしまったようだ。少しでも役に立ててよかったななどと思っている。

 キーボードから伸びたUSBケーブルは首に巻きつけてある。手でも足でも良かったのだが、首が一番座りが良かった。この先端を目の前のパソコンに繋ぐと微弱な電流が胸を突き抜けて少し苦しくなって、吐く息が痺れる。電気の味だ。口から9ボルト電池を吐いている感覚、とでも言えばわかりやすいだろうか。舌に押し付けてはビリっとくるあれである。

 おもむろに何かキーを押してみると思いの外柔らかい。カチッとした肌触りを予想していたのだが、ぐにゅっとした、と言う表現が適切なようだ。もしかしたらもはやキーボードに血が通っているのでは、などと思ったが、通っていてもいなくてもどうでもよいことである。気にした所でどうしようもないのだ。どうしようもなくなってこうなったので、この先どうなろうとどうしようもない。

 このままでは外に出られないので何か服を着る。昨日まで着ていたスーツでいいだろうか、鞄も持たなくては。ハンガーに手をかけると思わず鳥肌が立ってしまうが、胸で呼吸と同時に上下するキーボードを見つめるとそれは収まった。すうっと息を飲むとキーボードは膨らんで、そろそろ吐き出すとキーボードは縮む。心の平穏とは、このことだろうか。

 家を出る前に、鏡の前に立っておく。身だしなみを整えるためだ。ネクタイは曲がっていないか?髭の剃り残しはないだろうか。気にする点は山ほどある。鏡にうつる自分は、薄ぼんやりとしていた。頬に手を当てて、顔の所在を確かめる。触っている。

 家の扉を開けて、街に出る。もうすっかり日は沈んでおり、各種ライトが跋扈する夜がやってきていた。人通りも昼間のそれとは変わって、側溝から湧いたようなむせ返る熱を持っているのだ。みな互いを飲み込まんとしている。歯を鳴らして、準備は万端である。この雰囲気の中でどこへ向かおうか。特にあてはない。

 とりあえず、酒を飲もうと居酒屋にやってきた。自動ドアが開くなり、若い娘がすっ飛んでくる。私を見ると、にこっと笑った。一人だと告げると、席に案内してくれた。安い居酒屋のわりに、落ち着いた雰囲気である。私が座っている席は半個室のようになっていて、周りの目をあまり気にしなくてもよいようになっている。ふと悪い考えが浮かんで、この店を選んだのは正解だったななどとひとりごちる。

 ボタンを押して、注文をする。今晩はウイスキーを飲むつもりだ。熱い酒を喉に通したい気分だ。

 注文を取りに来たのは先程の若い娘だ。短くまとめた髪が楽しそうに揺れる。この娘はいくつくらいだろうか。高校生?大学生?制服を着た姿を重ねてみるが、どちらも当てはまるように見える。正直どちらでもいいといえばいいのだが、気分を盛り上げるのには重要な要素ではなかろうか。胸のあたりが、みしみしっと軋む。

 数分待っていると、ウイスキーが到着した。娘は「ごゆっくりどうぞ」などと言って去っていく。グラスを持ちつつ首周りを、ぼうっと眺める。

 ウイスキーを少量口に含む。すぐさま鼻に強い香りが突き抜けて、口の中が涼しい熱で溢れていった。溶岩を冷凍したらこんな感じになるのではなかろうか、食道が焼けるように冷たい。冷気が脳に突き抜けて、鼻の奥を熱さで焼いていく。ウイスキーはこの感覚がたまらない。キーボードが心なしかギショッギショッと軋んでいる。知らず知らずのうちにグラスを口に運ぶペースが早くなっていく。

 ちょっと時間が経つと、なにやらおかしくなってきていた。一口飲むごとに胸のあたりが騒がしくなるのだ。軋んでいただけのキーボードが、ギーィヨッギーイッと針金を切り刻むような音を立てている。気分の高揚には違いないが、それとはまた別な何かがやってきている。いや、むしろそのために来たのではなかったか。私はよくわからなくなってもう一杯飲んでしまおうと注文をする。ボタンを押す指も心なしか震えていた。首に不思議な汗が流れ、背中は不快にべたついている。シャツの下はどうなっているのだろうか。少し恐ろしい気もするが、見てみたい気もしている。首に巻いたUSBケーブルがぴんぴん跳ねて今か今かと待ちわびている。この個室の扉を、あの細い手が開けるのを、待っているのだ。

 「ご注文をどうぞ」

 同時だ。あまりにも同時だった。あの娘がそう口にした瞬間USBが飛んでいって彼女の首に突き刺さった。血も出ず、彼女は悲鳴も上げず(あとから知ったことだが、キーボードが音量を最低にしていたのだとか。)、ひたすらUSBの先端はずぶずぶと沈んでいった。「死ぬのではないか」と私は思ったが、そんな思いは突如としてかき消される。彼女が口の中になだれ込んでくるのだ。女子高生(あるいは女子大生)の香りが口の中を吹き抜けていく。ウイスキーなど比べ物にならない心地よさをもって鼻腔から脳天までひたすらに風が吹いている。私は脳みそが思わず飛び出しそうになって、呻きつつ彼女に覆いかぶさった。みれば彼女は口を金魚のようにぱくぱくさせながら目をきょろきょろさせているではないか。私に彼女が吹き抜けているのならその逆もありうるのかなどと考えが浮かんだ。そうだとしたらご愁傷様としか言いようが無い。ああ、かわいそうな娘。私はUSBをもっと深く彼女の首にねじ込む。胸がいよいよ騒がしくなってきた。飛び立つ巨大なカナブンのような音を立てて喜びに打ち震える。私の感情をこの振動が代弁しているといっても過言ではない。いいいいっぎっいいぎぎっギーギーギィーギーッ。

 深く刺すたびに吹き抜けるものが変わる。頭になにか風景が去来する。これは、夏だ。夏。夏だようん夏だ夏だ。夏だね夏夏。木陰の下、娘と、む、娘と、同級生男子、流れる雲、肌焼く日差しッ。

 私は気持ちがわけのわからないことになって半裸になった。キーボードは生きているかのように波打ち、震えている。スペースキーが弧のように曲がっていて口に見えた。気持ちが悪い。それを押すとなんということだろうか。彼女の右足の膝から下が離れていくではないか。なるほどスペースか、と私は理解したが、いまいち理解できていない。だが、押さずにいられないのだ。何かに突き動かされるようにスペースキーを執拗に押す。彼女の右足は膝から下が個室の端の方へ行ってしまった。血は出ていない。離れているが、くっついているようだ。拾い上げてみると、普通に持ち上げられる。これは、これはと首から上を離すことにした。キーを押すたび可愛い頭が上半身から離れていく。私はその様子を眺めていると、射精してしまった。全身が心臓に変わってしまったかのように拍動して、意識が飛びそうになる。それを何とかこらえて、離れた頭を鞄にしまった。USBは繋い
でいないと恐らく死んでしまうと思われたので、袖から通しておく。

 這々の体で店を出て、再び街に出た。チカチカ光るライトがギインギインと眼の奥を痛めつけてくる。脳にわいて出てくるこの娘の記憶のイメージを受容するのに精一杯だ。浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返す泡沫のような娘の記憶が脳に溢れて耳からこぼれそうなのだ。

 それにしても、なんと幸せな娘なのだろうか。頭にやってくるイメージを見る限り、私と正反対の人間だ。だからUSBが突き刺さったのだ、と言うわけであるが、このような柑橘類のような(そうまさに柑橘類のような)イメージを体験できているのは私からしてあまりに幸運である。もっとも、これが存外普通で、私がそこから外れているだけ、という事なのかもしれないが。結果として、この娘の持っているものは私には些か刺激が強く、私を滅入らせる事となった。だがしかし、鞄の中である。その口を開くと、可愛い顔がこっちを見ている。

 家に帰って、首から上だけの娘をテーブルに乗せた。相変わらず目をきょろきょろ、口をぱくぱくさせている。喋りはしないが、USBを深く挿すと色々なことを教えてくれる。無理矢理記憶を味わっていると言ったほうが近いのだが、それではロマンチックではないのでそう思わないことにする。

 ベッドに娘の頭と横になる。首の肉や血管が直にシーツに触れているので汚れないか、衛生的に大丈夫なのかと思ったが、なんでもないらしい。第一触ってみると大理石のようにつるつるしていた。